きみが望めば
「ぃや!」
思い出していた。この白くてヒラヒラな服を着た男。王子だった!あたしが初めて連れてこられた時に見た、王子!

「つれないなぁ。姫、探したんだよ?」
押しても押しても、その王子の胸はあたしを離さない。ヒラヒラの見かけに似合わず逞しいみたい。
「離してー!」

「なんでだろう、嫌がると余計に抱きしめてたくなっちゃうよ。」
ほんとにそいつはあたしを抱く腕に力を込めてきた。髪に顔まで埋めてくる。

ぶるるっ、白馬まで更に顔を寄せてきて、そこでやっと王子はあたしを解放してくれた。

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