きみが望めば
「僕、いや、私はこの国の王子、アル・バトレー3世。先日君を舞踏会で見かけてから、ずっと気になって探していたのに。恋い焦がれていたのは僕だけなのかな?」

すごく自然に両手を握られてしまう。
「僕のこと、覚えていないの?」
星が飛んでそうなきらきらの瞳。

ぶんぶん首を横に振った。だって、だってこのインパクトのある王子、忘れるわけがない。

絵本のお話に出てきそうな、女の子がときめきそうな王子様、そのものだったから。
金髪、薄い青い瞳、白い肌、ヒラヒラふりふりの白い服にタイトなパンツズボン。。


「ぁっ、、!」
「思い出したの?」
そうだ、この王子って、妹の、咲希の王子役なんだ!、、たぶん。
それなら納得できる。
目の前のこの王子、咲希が好きそうなお話の王子さまスタイル!

分かったからには、あたしは握られた手を必死で剥がした。
「違うの、あたしじゃないの!」
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