きみが望めば
ばっと手で口元を押さえた。
「初めてだった?やったね。」
かぁっと急激に熱が昇る。

「この香りは堪らなくなる。」
固まるあたしをアル王子は片手でぐっと胸に抱きしめた。頬に触れる王子の息遣い。
「やっ、離して、、」
ぐっとその胸を押し返す。

初めてだった、あたしの。。

ぐらっと馬上から落ちそうになる。
アル王子の腕があたしを挟んでいて落ちずにすんだ。
「もう少しで着くよ。」

白馬は城の入り口だろう大きな立派な門の前に着いていた。見上げるほどの大きなお城。中世のお城みたい。輝くような白だと思っていたお城は、近づくとパールのように輝く白のようだった。曇り空にも関わらず、輝いている。
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