きみが望めば
もう半ばやけくそで、たくさんのドレスの中から一着を選んだ。
「とても素敵ですわ。」
そう言うとお手伝いさんたちがあれこれ着替えを進めていく。
あたしは香水の小瓶だけ下着にそっと隠しておいた。ハッピーエンドに着くまで、必要なのかもしれないしね。


窓の外から日差しがこぼれてきた。
黒い雲が明けていくようだった。

ドレスに身を包み、肩までの髪を何とかアップにされている間中、あたしは心の中で呟いていた。

大丈夫。大丈夫。大丈夫。。
きっと上手くいく。
ここはファンタジーの世界、願った通りに進む世界なんだから。。

大丈夫。大丈夫。。



両手を握り合わせ、
閉じた瞼にきゅっと力を込めた。

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