きみが望めば
座っていた座席からそっと立ち上がった。

ラファもソラも教えてくれていたわ。
ここがファンタジーの世界だって。
願ったことが叶う世界。
だったら。。

願えば叶うはず。きっと。



あたしは香水の小瓶を取り出した。
手首に、耳たぶの後ろに、首筋に、鎖骨のあたりに、、少しずつ付け足した。
ハッピーエンドに行って、帰るんだから。


あたしはドレスで歩く練習を始めた。
イメージして始めると、割と簡単に歩けるようになっていた。鏡の中の自分が、心細くて泣き出しそうだったさっきまでの自分とは見違えるようだった。


コンコン、ノックの、音が響いた。



背筋を伸ばした。
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