きみが望めば
「姫、お迎えにあがりました。」
俺は莉乃の前に片膝をついた。

「え?」振り向いた莉乃は目を丸くして
耳を疑うようだった。

「こちらの手違いで連れてきてしまったのだが、どうやら貴方にもファンタジー世界へ入る資格があるようだ。

あなたの望む世界へお連れいたします。」

「え、でも、私、あの、王子さま、、とかちょっと無理だし、早く帰って明日の試験の勉強もしなきゃいけないし。」

理屈を並べる莉乃の手をとり、俺はぐっと彼女を自分の胸に引き寄せた。

「飛びますよ。しっかりつかまっててくださいね。」

「ちょっと待って!やだ何がどういうことなの?!」
暴れる莉乃を抱く腕に力を込めた。


ぼわんっ。

空気を揺らす効果音とともに俺は再び空間を移動した。


「おひとり様、ご案内〜♪」
レドの声が事務所にひびいた。
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