きみが望めば
レドはにやりと笑みを浮かべた。
「莉乃ちゃん、気持ちを前向きにさせてがんばろうとしてるよ。王子に向き合おうとね。だけど、ほら、この空はまだ澄みきってはいない。ハッピーエンドはまだ決まってない。」

玉の中の莉乃を見つめるラファ。
「ラファで行けばいいじゃない?」

「だが、俺自身を抑えられなくなったら?俺はガイドだ。」
「何言ってんの。ここはファンタジーの世界だよ?」
レドは虹色の玉の上でさっと手を動かした。
玉の色が変わる。輝きが変わる。

「望むように進む世界。それがここさ、だろ?」
ばちん、とウィンクしてみせる。

「少し時間をくれ。きっとすぐ制御できるはずだ。」
背中を向けようとしたラファにレドは続けた。
「言っとくけど!俺は無理して理性を保て、なんて言ってないからね。逆だからね。」
ラファの足が止まる。



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