きみが望めば
「落ち着いたか?」


優しく抱きしめていた腕が緩められた。
あたしは逞しい胸に泣きついて、涙でぐしょぐしょに濡らしてしまっていた。視線を上げると、ラファの金色の瞳があたしの瞳を待つように見つめていた。
大きな手で鼻を拭われる。
「もう、、っ!」
「化粧がぼろぼろだぞ。」

余計な一言にぐさっとくる。
「ばかばかばかっ!心配で心配で、、!」

さっきまで抱きしめてくれていたラファの胸を今度は叩く。思いきり叩く。

せっかく「ありがと、もう大丈夫」って言いたかったのに!
ラファは叩かれるままにしていた。

しばらくして、またあたしの髪を優しく撫で下ろす、それがあんまりにソラみたいで、あたしは思わず聞いていた。
「ソラなの?!」


「戻れないんだ。」
「、、戻れないって?」
あたしの真っ赤にこすれた跡を残す手首に顔を近づける。

ソラに?ラファに?
理解しようと繰り返し口にしていると、
手首に温かい感触。
ラファがそこにくちびるをつけている。
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