きみが望めば
「擦っても落ちない。」
「っ痛、」
手首の擦ったところをくちびるが触れて、ぴりっとなった。
「こっちも真っ赤だ。」
ラファがあたしの首筋に触れる。
「痛いっ。」

「お前自身から香ってくる。」

「ちょ、ちょっと、ねぇ、それはだって。」
首筋にちょっと触られただけなのに身体がびくっとする。

「さっき香水たくさんつけたからだよ。ラファもソラもハッピーエンドに行けば帰れるって言ったじゃない?だからっ。」
香水の瓶を取り出して見せる。
「この香りでしょ?」

また香りのせいでラファの理性がおかしくなってるのかもしれない。
これ以上ラファに香水の香りを寄せすぎるのはよくないと思って、あたしはその小瓶を身体から離して持った。

「違う、」

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