きみが望めば
「ああ、それはただの黒いマントです。餞別にね。」
レドはアイテムで溢れた部屋を器用に歩く。

「いちど空想世界に介入したからには、ラファ、お前はもう空想世界の登場人物のひとりです。覚悟してるんでしょ?」
レドはちらっと振り返った。

ラファは金色の瞳をふっと緩ませた。
答えは聞かなくてもわかっていた。

「姫とハッピーエンドにいらっしゃい。幸運をね。」
レドはゆっくりとボタンを押した。

空気が揺れ、ラファの姿が再び消えた。



レドは机の上に腰掛けた。
虹色の玉がきらきらと光りを放っている。
「もしだめだったら、また採用してあげるよ。」

手をかざす。虹の玉に鮮やかな色が映り始めた。
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