きみが望めば
「そうよね。ふたりは共存してるんだから。」
ソラが居るということにほっとしているように見えた。

給仕から飲み物を2人分受け取り、莉乃へひとつ、自分でもひとつ口を付けた。

「これ美味しー♪甘い、いちごのジュースみたい。」
「どうして王子のところへいない?こんなところで何をしていた?」

こくん、と飲み込んだ莉乃の顔が火照ってきたようだ。
莉乃の甘い香りが漂ってくる。
なんだ?何故睨んでくる?

「もー、こんなときだって心を読んでくれたらいいのに。ガイドでしょ。ぅー、、」
ぁぁ、そういうことか。

「今違う飲み物をもらおう。」
俺は莉乃からまだ液体の残るグラスを受け取った。

「アル王子の席は遠かったの。」
ぽつりと呟くような声。
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