きみが望めば
莉乃の隣に腰を下ろした。
酔った莉乃がふーっと息を吐き、肩を落とすように見えた。
今の俺には莉乃の心は読めない。

「この会場に来たら、王子はもうあっちの席に居てね。王子に会おうってお客さんでいっぱいで近寄れなかったの。アル王子はお妃選びの最中なんだって。」
「そのお妃にしようとお前を連れて来たんだろ?」
首を振る莉乃。
「そうだけど、連れてこられたけど、、」隣の会場をちらっと見やる莉乃。
「あたし、てっきり勘違いしちゃってたのかも。へへ、、」
火照った顔で苦笑する。

「どんな勘違いだ。」
「えー、、」
ばしばしとまた俺の肩を叩く。

「お前をかっさらっておいて、勘違いも何もない、期待して当然だ。俺ならそんな風に悲しませない。」
「ラファ。。」
叩く手が止まった。

「あんまり見つめるなよ。襲いたくなる。」
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