三つ葉のクローバー
「もう、一年なんだな・・・」
隣で翔平が呟く。
あたしはお墓に手を合わせたまま、小さくうなずく。
「・・・行こっか。」
あたしと翔平は、愛実が眠っているお墓を静かに後にした。
翔平はあたしの歩幅に合わせるかのようにゆっくり歩く。
「翔太ー。」
あたしより20センチも背の高い翔太を見上げながら言う。
「どうした?」
肌寒くなってきたこの季節。
喋ると白い息に変わる。
マフラーに顔をうずめながら、あたしは翔平に言った。
「・・・愛実、元気かな?」
「そーだな。たぶん元気だよ。」
「・・・あっちでもいじめられてないかな?」
「愛実はそんなに弱くねーよ。今頃、俺らのこと見下ろして笑ってるぜ?」
「そー・・・だね。」
愛実の話をするのも一年ぶり。
あたしはどこかで「愛実」っていう存在を避け続けてきたのかもしれない。
そう、あの日から。