三つ葉のクローバー
ガラッ
勢いよく教室のドアを開けたあたしの目に飛び込んできたのは、予想外の光景だった。
クラスメイト(と思われる)のかわいらしい女の子が、教室の窓から飛び降りようとしていた。
窓の手すりに片方の足を掛け、もう片方の足はすでに空中に浮いているという、もうちょっとで飛び降りそうな状態のその女の子は、無表情でこっちを振り返る。
「・・・こんなとこからじゃ、死ぬに死ねないと思うけど?2階でしかも下は花壇の土でしょ?・・・笑い話にもなんないんじゃない?」
こんな光景を見つけてしまったあたしは、以外に冷静だった。
女の子は諦めたのか、静かに床に降り、心の無い人形のような目をしたままあたしを見ていた。
「まあー、どっから飛び降りようが個人の自由かも知んないね。」
自分の机から、数学のノートを取り出しながら言う。
「・・・死ぬつもりなんてなかったんだぁ・・・」
女の子は、ぽつりと呟くように話し始めた。