A RUTHLESS KILLER

「てかよ、山岳部って上下関係厳しくねえの? こうやって無断で何人かでまとまって来ちゃって平気? 夏合宿的なやつとかないの? 夏が本番じゃねえの?」

 小太郎がそれぞれにビールを手渡しながら佐々木に矢継ぎ早に話しかけた。高校生にはもちろんオレンジジュースだ。

 すでにメイと春麗も席についていた。
 よく寝たからか、すっきりした顔をしている。

 メイは来たときと変わらない大きめのパーカーにスリムパンツといった格好。髪もそのままだ。

 春麗はチューブトップになっている白のミニワンピ。相変わらずのツインテールにチェリーピンクのリップがテラテラと光っている。


「この時期はいくつかのパーティーに別れて各々別行動なんだ。山屋ってけっこうそんなかんじで厳しい上下関係はないかな。下のやつでも経験が豊富なやつだっているし、上だからって全部分かってるとは言えないしね」

「そんなもんなのか。いいなそれ。俺んとこなんか……」



「一年生は奴隷、二年生は平民、三年生は天皇、四年生は神様だからね」


 口を挟んだのはメイ。いたずらに笑う。


「小太郎がいつも言ってるから覚えちゃった」


 豪快にみんなが笑う。


「っと、いまだにだぜ。やんなるっつの。この時代になって時代錯誤もいいとこだよな。まじ俺の代で取り止めてやる」小太郎が鼻息荒く吠えた。

「すごい。ほんものだ! 本物の体育会系だ!」涼子が口元に手を当ててキラキラした目を向けた。

 彼女もまたアリの家と同様にお金持ちなので、子供の頃から習い事はピアノ、バイオリン、塾とインドアばかりだったので、体育会系とは無縁だった。

 どちらかというとクラシックを聞きながら優雅なティータイムを過ごす。

 そんなかんじの生活だった。





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