ただ、大好きなだけ。
「蓮、くん。ごめんなさい!電話も、メールもそれに、」
迷惑かけて、そう言ったと同時に、
蓮くんの匂いに包まれる。
「ばーか、そんなわけないでしょ。それより、なんで先に帰ったの?」
不機嫌そうな蓮くんの声が頭上から聞こえる。
「れ、蓮くんが告白されてて、付き合っちゃうのかなって思ったら悲しくて…」
蓮くんがあたりまえのように告白されるって、承知の上だったはずなのに…。
「俺が好きなのは彩葉だけなんだよ?不安になるなんて許さない。」
それに、彩葉以外は、眼中にないし。そう言ってふっと笑った。
こんなにも好きだって伝わってくるのに、
不安になるのは、大好きだから。
ただ、大好きなだけ。
Fin.