天敵は恋仲
「あ、そうだ。青葉先生」
「はい?」
「今日の夜は、予定ある?」
「ないですけど…。何か用ですか?」
「ご飯一緒に食べたいなあって」
ご飯一緒に食べたいなあ………って!?
口を開けたまま固まった私を、笑いながら見つめる平野先生。ちょっと待て、私と一緒にご飯って言った?
「……誰とですか?」
「青葉先生と。二人で」
「二人で!?」
ダメ?なんて首を傾けて言う平野先生は確信犯だ。何その可愛いポーズ。反則でしょ。
―――ダメじゃない、と言おうとしたら後ろから紙の束で思い切り叩かれた。
「痛った!!?」
頭を押さえながら後ろを見ると、そこには不機嫌そうに私を睨む、ムカツク男が偉そうに立っていた。
「何すんのよっ、ハゲ!」
「すいません、平野先生。今日コイツ残業なんですよ」
「無視すんな…って、残業!!?」
ビックリして清水先生を二度見すれば、明らからに睨まれる私。残業なんて聞いてないんだけど!?
平野先生は、そっかー、なんて納得して私たちから笑顔で離れていった。笑顔なのがちょっと傷付くんだけど。
「…清水先生。残業って、何するんです?」
「夏休みに使う教材選び」
「それ私必要?」
「俺と青葉先生が指名されたんだよ。若い人の感性も必要だってな」
めんどくさ…。しかもなんで清水先生と。てか頭叩く必要全くなかったよね。