冷たくて優しい先輩
大袈裟だけど、本当にその時はそう思った。
知らない場所で孤独感に加え、寒さもあって、バス停のベンチで丸まっていると、誰かに声をかけられて顔を上げた。
「おい、大丈夫か?」
それは志望校の制服を来た、男性だった。
綺麗な顔立ちをしていて、黒髪で
私には王子様に見えた。
「具合悪いのか?」
「あ、いえ、あの、ここに行きたいんですけど迷っちゃって……」
高校名と住所の書いた紙を見せると、あー!と言った。