元スキな人★
そう言って振り向いた南くんの顔は,ひどかった。
涙を流して目をはらして,怒りに溢れているようだった。
「あたしも行く」
南くんは一瞬驚いたようだったけど,すぐにあたしの手をとって走り出した。
南くんの手は大きくて…かたくて温かかった。
…――――――――――
どのくらい走っただろう。
鞄はドコにおいただろう。
制服姿のあたしたちは北中にいた。
前には学ランを着た南くんが歩いている。
後ろにはスカートをひらひらさせながらあたしがいる。