先生と、ひとつ屋根の下




先生が切ってくれた1ピースのショートケーキを、

お母さんの写真の前に置いた。




「食べてね……お母さん」




「俺らも食べよう。」



「はい」






─────────………‥‥



もう少しで今日が終わる。



お母さんの写真の前で、


ただ座っていた。



「まだ寝ないの?」



スウェットにTシャツの、

いつもの先生。




「ネックレス取るよ。寝るとき邪魔でしょ」


「あ、…お願いします」







先生の手が、また、首に触れる。





「私は……お母さんに、何も親孝行出来ませんでした。
この先も一生出来ないんだなって思ったら、……胸のなかに穴が開いたみたいで。」




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