先生と、ひとつ屋根の下
「まさか……その歳で栞ちゃん、結婚してるなんて。しかも教師と」
明らかに、さっきと口調が変わってる。
「私、今年離婚したの。子供一人連れて、日本に帰ってきたんだけど。
早奈子が亡くなったこと、つい最近知って…
今年は本当にいろんなことがあるのね」
美弥子さんはコーヒー、
先生は紅茶、
私はオレンジジュースを頼んだ。
「ねえ栞ちゃん、あなたまだ16か17でしょう?どうして結婚したの?しかも担任って……」
「…先生は、悪くありません。
私が、今の高校に残りたかったんです。
いきなりお母さんが死んで、
これから一人で暮らしていけるような覚悟もないから、
北海道に住む親戚が、仕方なく私を引き取ってくれることになったんです。
でも、今いる学校で、バスケを続けたかった。友達と離れたくなかった。
嫌々私を引き取る親戚のお世話になりたくなかったって、先生の前で泣いちゃったんです。
先生は、私が今の高校に残れるように、一緒に住む提案をしてくれたんです」