先生と、ひとつ屋根の下




繁華街へと続く通りを、




見覚えのある人が歩いていて。





確か、栞の叔母の……、

“美弥子さん”だった。




男の人と腕を組んで歩いていた。








新しい恋人か?とか、



そんな風にしかその時は思わなかったけど。




土砂降りの中、別の高校に書類を届けるために学校を出ようとしたとき、





俺の傘が見えた。





前に…栞に貸した傘。




また今日も早退……?





でも、この天気の中わざわざ今帰る必要があんのかよ。








「栞…乗って」





つい前のくせで、





栞と呼んでしまった。




けど、


そんなことを気にせずに、




助手席じゃなく、後部座席に乗り込んだ。






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