Soul Lovers2~あなたの笑顔を守りたくて~
「私には女性としての魅力がないんでしょうか?」
真正面から梨央さんを見つめると、梨央さんは「なんだ、そんなこと?」って顔をした後、
「あなた、自分で自分のこと色気があるって思う?」
高すぎず低すぎない耳障りの良い声で、梨央さんはさらりと言った。
淡々とした口調に、決して嫌味を言ってるわけじゃないって分かるからこそ、グサッと胸に突き刺さる。
あからさまに落ち込むと、
「でもハルにとっては違うんじゃない?大切なものほど、触れるときには慎重になる。ハルなら、そう思うんじゃない?」
残りのコーヒーを飲みほした梨央さんは、
「後は自分で考えなさい」
そう言って、店を出た。
梨央さんの言った意味、分かるようで分からない。
ただ一つ断言できることは、梨央さんから見て私は色気ゼロってこと。
梨央さんが去った後に残る花のような残り香を感じながら、店を出ようとして気づく。
伝票がない。
ここの会計、梨央さんが払ってくれたんだ。
さり気なく見せる大人の気遣いに、梨央さんにはかなわないな。なんて感じて、胸がちくんと痛んだ。