Soul Lovers2~あなたの笑顔を守りたくて~
1分1秒も無駄のない七倉さんを見ていると、私はちゃんと、自分の人生を歩んでいるのだろうか?って、不安になる。
そんな時はいつも、コートで夢中でテニスボールを追いかける。
それだけで少し、七倉さんに近づけたような気がするから。
「張り切ってるね」
そう声をかけてきたのは、同じテニス部の横峰玲(よこみねれい)。
「真下さんがいると、私も気合いが入るわ」
そう言って、長い髪を1つに結んだ横峰さんは、ウォーミングアップを始めた。
「久しぶりに試合しない?」
その言葉で思い出す。
高校3年の時の苦い思い出。
高校生最後の試合。
全国大会の決勝戦。
コートに立つ私の向こう側にいたのは、横峰さんだった。
この試合に勝てば、日本一。
私はその試合で、横峰さんに負けた。
「懐かしいね」
横峰さんは、ラインぎりぎりに落とした私のボールをなんなく打ち返して、にこりと笑った。