嘘姫
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「さ、さむい…」
(こんなことなら家を飛び出すんじゃ無かった。)

つるんっ

雪で凍った道路で滑りそうになる。

「うわっ!」

バタン

「うっ…いたいー…パパー!ママー!」

こけて擦りむいた膝から血が滲み出してきた。寒くて誰もいない道路に虚しくなりパパとママを呼ぶ。すると…

「美桜…?」

「えっ…!?パパ…?ママ…?」

パパとママが反対側の歩道にいた。

「美桜!!」

パパとママは、すぐにこっち側の歩道に来ようと道路を横断した。

キキッー

「パパ!ママ!あぶない!」

ドン!

「パパ!?ママ!?」

雪で滑った大型のトラックがパパとママにぶつかった。

「うっ…」

パパとママの体は血だらけだった。なのにパパは…

「美桜…?大丈夫…か?」

「えっ…?」

「無事でよかっ…た…」

「パパ!?ママ!?起きて!パパ!ママ!」
(私が…私がケーキを欲しがったから…!)

「いや…いや―――!」

パパとママが血だらけで倒れている所を見た私はショックで気を失った。
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