君が好き~16歳ママの恋~
「小学生の時、お父さんが殺人犯になって、行き場を失った私とお姉ちゃんは、お父さんの友達の家族に引き取られた。


今のお父さんたちね。


すごく幸せだった。


仕事ばかりで家に帰らなかった父親しか知らなかったから、毎日家族みんなで食卓を囲んでいることが、とてもうれしかった。


学校でも彼氏ができて。


でもね、つらかった。


お父さんが殺人犯ってこと、秘密にしてたから。


だから、付き合って2年経った日に話したの。


その人のこと信用してたから。


それでもいいって言ってくれるって思ってたから。


別れようって言われて、別れて、やっとそのショックから立ち直ったのは、中学2年のとき。


でもね、その年に、その人にレイプされたの。


苦しくて、怖くて、でも、誰にも相談できなかった。


お父さんたちにも心配かけたくなくて、毎日毎日、それを受け入れた。


しばらくして、お姉ちゃんとお母さんが気づいてくれた。


でも、その時にはもう遅かった。


お腹の中に、夢羽がいたの。


本当は、産むつもりなんてなかった。


あんな最低なやつの子どもなんかって。


でも、心音を聞いた時、この子も生きてるんだって思ったら、中絶できなかった。


中学3年の秋、夢羽を産んだ。


必死でおっぱいを飲んでる夢羽を見て、ああ、この子は私の子だって思った。


どんなに最低な父親でも、この子の母親は私なんだって」


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