君が好き~16歳ママの恋~
夢羽は動物が見える度にきゃあきゃあとはしゃいでいた。
でも、さすがは日曜日だ。
人が多くて、動物が見えないことが多い。
「まま、ぞうさんだあ!」
「大きいね、ぞうさん」
「おっきーね」
隣に日向がいるのに、日向の方は見ることもない夢羽。
「まま、ここ、おさるさん?」
「そうだよ」
「みえないよ?もっとだっこして」
「もうできないよ。夢羽も大きくなったんだから」
夢羽は口を尖らせる。
「夢羽ちゃん、おいで」
日向が夢羽を抱き上げて、肩ぐるまをした。
一瞬驚いて固まった夢羽も、すぐに手を叩いて喜んだ。
「わあ、見えるよ!いっぱいおさるさんだよ!」
「日向、ごめんね。重くない?」
「平気だって。男の腕力なめんな」
これ、はたからみると、家族のように見えるのかな。
そう見えていたらいいな。
「花園?」
え、私?
違うよね。
その名前は、もう昔に捨ててる。
それを知ってるのは、その名前で私を呼ぶのはあの人だけなの。
「花園、だよな?」
振り返ると、そこには、思い出したくない人がいた。