君が好き~16歳ママの恋~
「やっぱりそうだ。なに、お前、結婚したんだ?
で、子持ち?
16で子持ちって、やっぱお前、やることすげえな」
やめて。
あなたのせいでもあるんだよ?
私は何も悪くないの。
悪くない?
本当に?
だって私は、私の実の父親は、人を殺したんだよ?
しばらく忘れていた現実が、次々につきささる。
「あんた、ダレ?」
日向の声が聞こえて、はっとした。
そうだ。
ここには夢羽もいる。
夢羽にこの男の存在を知られたくない。
「こいつの昔の男だよ。
あんたは今の男か。じゃ、知らねえな。教えてやるよ。
こいつの実の父親はな」
「知ってる。知ってて付き合ってんだよ。
お前にいろいろ言われる筋合いない」
「あ、結婚してるわけじゃないんだ。
まあ、俺には関係ないか」
よかった。
やっと、どこかに行ってくれた。
「華恋、大丈夫か?」
「ごめん、ちょっと、夢羽をお願いしていい?」
あのことを思い出すだけで、吐き気がこみ上げてくる。
気持ち悪い。