君が好き~16歳ママの恋~
《日向side》
秋も深まった頃の昼休み、オレはいつものようにクラスの友達と話していた。
華恋は本を読んでいる。
やっぱり無表情だ。
学校では、オレたちの関係は秘密って華恋が言ったけど、なんかいやだな。
「藤咲さんって、いつ見てもキレイだよな」
「下僕でいいから、そばにいたい」
「放課後、いくら誘っても断られるぞ」
そりゃそうだ。
放課後は夢羽ちゃんといるための貴重な時間だからな。
華恋の人気は完璧だな。
男子には、だけど。
「あの無表情がまたいい」
「あれ、オレ、藤咲さんが笑ったところ見たことあるけど」
「いつ?!」
ま、マジか。
華恋が学校で笑うなんて、天地がひっくり返ってもありえねえぞ。
「先週だったかな。
スマホで画像みたいなもの見て、笑ってた。
あの時はすごかったな。一瞬で天国に行ったような……。
藤咲さんの周りに花が見えて」