君が好き~16歳ママの恋~
いや、だからなんだよ。
でも、何も言わない方がいいよな。
こいつがどれくらい知ってるか分からないし、
余計なこと言って、また華恋を傷つけるのも嫌だし。
「レイプされたのに子ども産むなんて、普通の人間ができることじゃない。
それに、レイプされてできた子どもなんて、汚いじゃない!」
バシッ。
鋭い音が教室に響いた。
華恋がその女子の頬を叩いていた。
「夢羽は……あの子は、私が勝手に産んだだけ。
何の罪もないし、赤の他人のあなたにいろいろ言われたくない。
それから、あの子は汚くなんかないから」
かろうじて冷静を保っているようだ。
大丈夫か?
「あんたの方が、よっぽど汚いよ?
人のもの盗むとどうなるか、分かっててやったんだから。
あんたの方が人間として終わってる」
「なっ……」
「華恋、もういい」
震えている華恋を抱きしめた。
その瞬間、華恋は泣き崩れた。
張り詰めていた糸が切れるように。
夢羽ちゃんを悪く言われたのが、華恋にとってはきっと何よりも大きいダメージだ。