君が好き~16歳ママの恋~
どうして泣いてるんだろ?
悲しいことなんか、何もないはずなのに。
ただ……。
「じゃあ、今どんな気持ち?」
「……たい」
もうひとつしかない。
「ひなたに、会いたい」
言葉にした瞬間、それが原因だって分かった。
お姉ちゃんはにっこり笑った。
やっと言ってくれた、とでも言いたそうな顔で。
「行ってきなさい」
「でも」
「いいから。夢羽のことは任せて、ね?
華恋には華恋の人生があるのよ。まだ若いんだから」
「ごめんなさい」
家を飛び出した。
行き先とか、何も考えてなかったけど、
足はやっぱり分かってるんだね。
迷うことなく、あの場所へ向かっている。
「日向!」
ベンチの上の人影が、ピクリと動いた。
「華恋……?」
「日向、日向!」