あたしの正義
モデル新名里香の衣装は白のニットワンピースだ。
綺麗な足が惜しみもなく出されて、触れたくなる。
「始めるよ。」
「うん。」
「さっきのテンションは?」
「うるさいな。」
里香は雛の背中を見てきた。
雛がいつも前にいた。
だから誰よりも雛を超えたいと思っている。
周りのは違う人一倍強い闘争心。
雛を超えたいと思ってる里香は俺からしてみればもう雛と同様なくらいの実力だと思う。
でも敢えて言わない。
「そんなんじゃ雛には敵わないよ。」
「な!」
「本気でおいで。」
「わ、わかってるよ!」
キー!と地団駄を踏んだ。
相当悔しいのもあるけど俺にそのことをきっぱりと言われたのが堪らなく悔しいんだろう。
生憎俺も性格はひん曲がってるんだ。
その闘争心を利用するに決まってる。
カシャ、シャッターを切った。
途端に満面な笑顔になる。
パッと花が咲いたように。
真っ白な背景なのに俺には色とりどりの花が見える気がした。