あたしの正義
「新人のくせに生意気すぎる。でも……よく気付いたね。」
「名前聞いてもいいですか?」
「あたしは里香。いずれ雛ちゃんを超えるモデルになるから覚えといてねぇ。」
里香さんも雛さんと同じように素敵な笑顔をする。
全く同じ汚さがない笑顔。
こんなに素敵な笑顔をする人たち。
あー堪らない。
なんてところに放り込まれたんだろう。
こんなひとたちのことを知れた。
幸せだ。
「あたしのどこがいけないのかはあたしが分かってる。だから今から改善していく。」
「はい。頑張ってください。」
「新人に言われなくても頑張るわよ。雛ちゃんの撮影が始まったからあたし行くね。雛ちゃんよりもいい撮影をしなくちゃいけないから。」
「本当に負けん気強いですね。」
「当たり前じゃん。だってトップになりたいからねぇ。」
ペロリと唇を舐めた里香さんは餌に飢えた猛獣のように見えた。
こんな人が後から追いかけてくる。
雛さんのプレッシャーってかなり凄いものだろう。
だから初めて会ったあたしにあんなことを言ったんだ。
雛さんもきっと焦ってる。
里香さんの夢も近いかもしれないね。