あたしの正義
望雪音
カシャと慣れた手つきでシャッターを押した。
一回目のシャッターに反応しないアリス。
未だに下を向いたまま。
大丈夫なのだろうか。
俺が話しかけても緊張を曝け出しすぎだったし、後半なんて応答すらなかった。
こっちが不安になる。
新人だからこそ抱える未知の暗闇。
ここに立つと真っ暗になり、動けなくなるモデルなんて沢山いる。
もしかしたらその世界に入ってしまったのかもしれない。
アリス、と呼びかけようとしとき、アリスはようやく顔を上げた。
そしてアリスの表情に俺は吸い込まれた。
「…………やろうよ。」
「ッ、」
なんて顔をするのだろうか。
こんなの初めて。
俺はシャッターを切った。