あたしの正義
「アリス」
「…げ、」
「ちょっと来いや。」
そんなとき、滅多に現れない人がここに来た。
この人がどうしてこんなところに。
「お疲れ様でした!!」
「アリス、」
「ん?」
「いや、」
「京太さんが呼んでるから行くね!」
「うん。」
なんで佐伯京太さんと知り合いなんだよ。
あの人はもうこの業界からは足を洗ったはずなのに。
不意に京太さんを見た。
そして京太さんも俺を見ていた。
“驚いただろ”
「ッ、」
言葉が出ない。
あの人は俺のことを忘れてはいなかった。
元モデル。
佐伯京太。
この世界で知らない人はいない。
京太さんは誰よりもこの業界を知っている。