あたしの正義



乱暴に財布から1万を取り出すと、アリスさんにそれを渡した。


「要らないって言ったよね?」

「俺ももらう義理はない。」

「………引きずるよねぇ。腹立たしいよね。じゃあ貰うよ。でもいずれあたしは雪音にその倍を返せるくらいに稼いであげるから。」

「新人のくせに生意気。いつか痛い目合うよ?」

「痛い目?そんなの慣れてんの。」

「……は?」



お金を受け取る。
でもそのアリスさんの顔は見たことのないくらいの怖い顔をしていた。

アリスさんにどんな過去があるのだろうか。
痛い目に慣れてる?

それは一体どうゆうことなの?



「ねえ雛ちゃん。」

「ん?」

「凄く凄くムカつくのはあたしだけ?」

「え?」

「だって明らかに挑発してるよね。「あたしがここで1番になる」って先制布告してるみたいに聞こえるんだよね。だからムカつく。あたしだって伊達に練習してきたわけじゃない。涙ぐんでまでここまで来たの。なのにこんな新人に挑発されてることだけでムカつく。」



爪を噛みながらそう言ってくる里香。
その表情は……距離をあけてしまいたくなりそうなほど酷く捻れていた。



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