あたしの正義


「城ヶ崎さん。今回はあのバカに免じてやるだけだからね。」

「え?」

「雪音っちもこのショーに協力してくれるって事ですよ。とりあえず行ってきますね。」

「………ありがとう…。」



ギュッと拳を握りしめた城ヶ崎さんはそう言った。
顔が暗い。
一体なにがあったのだろう。

話してくれないとわからない。
でも今はそれよりもショーを成功させることだ。



「雛行くよ。」

「うん!」



おかしいな。
あたしも……アリスさんに影響されちゃったのかもしれない。


アリスさんの顔はいつになく本気で正直怖いくらい。
あのときの撮影といい、今日の事といい、アリスさんには怖いものがないんだろうか。


あたしが今できる事は……この会場を盛り上げる事。
大丈夫。あたしならできる。


だから雪音っちとアリスさん。
演奏のほうは任せたよ。




< 64 / 100 >

この作品をシェア

pagetop