あたしの正義
「ッ、」
「あのっ、」
「なんだよこれ……。」
「大丈夫ですか!!!?」
いきなり大粒の涙を流した彼。
男泣き。
こんなに気が強そうな彼が城ヶ崎さんの歌を聞いて号泣してる。
「…俺……最低なことしたのに。」
「………城ヶ崎さんと知り合いなんですか?」
「……………ああ。」
鼻まで真っ赤にさせた彼は嬉しそうに顔を緩めた。
そしてようやくあたしの腕を離してくれる。
「ののかと俺は幼馴染。」
「名前はなんて?」
「俺の名前は達也だ。」
「達也さんには分かったんですね。」
「ッ、」
「この曲の本当の意味。ちゃんと届いたんですね。」
「………ああ…。めちゃくちゃ届いたわ。」
またステージをみた達也さん。
城ヶ崎さんの姿をしっかりと捉えて、優しく微笑んだ。
達也さんはきっと城ヶ崎さんの事が好き。
そしてこの歌詞の相手は達也さんだと思う。
城ヶ崎さんは達也さんのことを思ってこの曲を作ったんだ。