あたしの正義



城ヶ崎ののか






いきなり現れた誰か。



「ちょ、おい!」



…この声って…まさか……


ぼんやりと映る彼のシルエット。
そしてすぐにわかってしまう。
達也のこの声。

低くて聞き取りやすい音。



「た、つや………?」

「………ののか久しぶり。」



や、やだやだやだ。
なんでここに達也がいるの?

やだ。
恥ずかしい。

会わないと思っていた。
だからあんなに堂々と歌ったんだ。

会わないから。
だから。



「何でここにいるの?」

「それは…こいつに連れてこられて…」

「なに?」

「いてぇな!!」



背中を叩かれたらしく、いつものように気性を荒くする。
変わってないな。
この汚い口調と横暴な態度。



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