アイより確かなナミダ
天邪鬼とピエロの邂逅
(1)
――美夏っちって、ホントーにドジだなあ
「えへへ、そっかな?」
(やめて)
――美夏ちん、あれやってよ!
「いーよー? 一発ギャグ、平安時代のお姫様!」
――やだー、ウケるー。
(やめてって)
――美夏ちゃん! カラオケ行こうよ! またあの歌、振り付け付きでさ、踊ってよ!
「もち! 美夏、張り切るよー!」
(もう、イヤーっ!)
そこでようやく私は目が覚めた。
「夢、だったか」
ホッと一息ついて安堵する。
枕元の目覚まし時計を見れば朝の六時を指している。
今日も一日が始まるのか――。
今度はため息が「はあ」と漏れた。
あの、悪魔のようなクラスメートたちと地獄のような一日が今日も始まるのか――そう思うだけで憂鬱になった。
自分を偽る、ピエロの一日がまた始まるのか……。
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