大好きな君の嘘
「副長 君菊の謹慎が解けたそうで
会いに行きますけど?行きます?」

君菊の事で、土方は責任を感じていた

( もしかしたら、自分が後ろから引っ張った拍子に切れたのでは

小楽を怪しんでいたのになんで、気づかなかったのか )


そんな心情を察して、山崎が誘ったのだ




山崎につれられて来たのは、あの空き家


「沖田はんの服、用意したんは、俺です
子供の頃から、武士になりとうて
浪士組が出来た時、俺も入りたいと思った
君菊が近藤局長を
すごい人やって、気に入ったって
俺に、土方副長の忍になれって…
近藤局長は、優しいから厳しい土方副長が
俺には、ええそうで…」

「そうか……扱き使ってやる」

「望むところです」

「そういや、俺がいて大丈夫か?」

「隠れてもバレますけど?」

「……試しに隠れてみる」

(なんでやねん…)


土方が案外子供なのではと、山崎が思った



ガタッ

「はぁ~ お兄ちゃん?いてる?」

「おるで」

「誰?」

すぐにバレて、押し入れから出された土方

「ゴホンッ よお」

「何?隠れんぼでも、してたん?」

「……んなとこだ」

(否定せぇへんのかい!!!)

「そら、邪魔しましたなぁ」

「菊、そこ座り」

君菊が縁側に座り、後ろから山崎が髪を解く

「ギッタンギッタンやな」

「うん」

「綺麗な髪やったさかい
もったいないことやったな」

「ええよ すぐ伸びるし
洗いやすいんやで?」

「せやろな」


山崎が器用に髪を揃えていく間

二人が会話するのを聞いていた土方だった







山崎が髪を結いなおすと

「君菊、俺な…」

「土方はん?また、すごい皺どすえ?」

ツンツンと自分の眉間を突いて言う

君菊は、土方に謝罪の言葉を言わせなかった


「お兄ちゃん、おおきに!
ほな 抜けて来てんのバレたらあかんし
帰るな」

「きぃつけや」

「隠れんぼの続き楽しんでなぁ~」

(誤解招いとるやないかい!!)



「今日は、笑わなかったな……」

「無理して笑われるよりマシですわ」

「そらそうだ」





それ以上語らず
別々に屯所へ戻ったのだった
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