大好きな君の嘘
「君菊…具合は、どおや?
島田屋はんが、予約に来てるで?」
番頭が、部屋を覗くと
深雪太夫と明里が来ていた
「君菊?」
「まだ具合悪い!!」
「島田屋はん…心配してるで?」
「まだ悪いねん!!ほっといてよ!!」
「君菊 いつまでも籠もってたらあかん
うちらと買い物に出ようか?」
「新しい店とか見にいかん?」
「ほな、島田屋はんには、出掛けるけど
今日まで仕事休むって、伝えるな
明日、来てもらおな」
「え?うち、まだ仕事したない!!
番頭はぁーん」
抵抗虚しく、深雪と明里にテキパキと
着替えと髪をされる
「なんや、二人には敵わんな…」
観念して、町に出た
「あら!これ君ちゃんによぉ似合う!!」
「そぉ?こういうのは、深雪ちゃんのが似合うと思うけどなぁ?明ちゃんどぉ?」
「見てみて深雪ちゃん!君ちゃん!
これ可愛いらしいわ!
三人で一緒にせぇへん?」
「「ええなぁ~!!!」」
(ええ仲間を持ってたんやな…
この二人は、信じてええよね…)
綺麗な三人が、馬鹿騒ぎしながら買い物して、甘味屋に来た
あれこれと話をしているうちに
恋の話になった
「うちな…
近藤先生に、迎えに行くて言われたんや!」
「深雪ちゃん!近藤はんと恋仲やったん?」
「君ちゃんは、新選組を避けてたから
しらへんやろけど
うちも、ええ人おるんやで」
「え?明ちゃんも新選組?」
「明ちゃんのお相手は、山南はんやで」
「わぁーー!!なんや、二人とも!!
うち、しらんかった
おめでとうさんどす」
「世間は、何かと君菊の噂ばっかりや
おかげでうちらは、騒がれんですむ!
おおきにやで!」
「君ちゃんは、土方はんとどぉなん?」
「……どぉもないよ
買って貰っただけやし…ってなんで?
なんで、土方はんが出てきたん?」
「だって…君ちゃん
土方はんにだけ、笑ってたから…なぁ」
「へぇ ニコニコしてた!
せやから、君ちゃんは土方はんが好きなんやって、うちら話してたんやで」
(わかりやすいのね…
気をつけなくちゃ…)
「お見通しの通り、土方はんに惹かれてる
せやけど…
抱かれても、嬉しくなかったんや
なんか… 虚しいだけで、辛かった
もう、うちは恋心とかいらんわ
苦しいねんもん…」
「土方はんにな…
身売りの話をしたのうちなんよ
花君太夫をほったらかして、血相変えて
出て行ったんよ」
「凄かったなぁ~土方はん」
「てっきり、ちゃんと気持ち伝え合って
そういうことになったんやと思ってたけど
案外不器用なんやな
土方はんが、君ちゃんのとこに
行った理由は、わかる?」
「さぁ?嫌がらせ?」
「はぁ~君ちゃんが好きにきまってるやん」
「え?…まさか?ないない!!
だって… 怖かったんやもん…」