『“せんせい”のくせに。』


「そんなの…ありえないよ。」

『言い切れる?』

「あ、…」


ーー答えられない。


『なあ、美鈴知ってる?


人の気持ちに絶対なんてないんだよ。』


耳元で聞こえたその言葉に、
キュ、と苦しくなる。

否定しなかったのは自分なのに、
圭太をこんな顔にさせてるのは
自分なのに。


“絶対、中津さんのことは
好きにならない。”


ただ、そう言うだけで
全てが解決するのに。


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