a desire
若き実業家の苦悩
―その言葉に心臓が止まるかと思った―
「ってーなぁ…」
柚梨に殴られた頬の傷みも、今の俺にとっては、もの凄く有り難い。
俺、西田 直輝と彼女との婚約は極秘であって、本当の目的―東グループをうちの傘下に入れること―を知っているのは、極僅かだ。
彼女を溺愛する両親としては彼女…柚梨には、会社を支える苦しみではなく、女性としての幸せだけを知って欲しいのだろう。