博士とわたしのクローバー
そうなんだ。でも、確かに昨日の夜忘れ物を取りに来た時に博士が
泥だらけの犬を洗っていたな。
「それだけじゃない。ここにいる犬や猫、鳥たちはほとんどが飼い主が飼えなくなって持ち込まれたのや捨てられたのを拾って来たのが多いんだよ。」
「ええっ!」
・・・知らなかった。まさかここに居る動物たちが捨てられたか持ち込まれた
ものだったんだ。でも・・・
「博士は滅多に外に出ないのにどうして拾ってこれるんですか?」
「ああ、流石に僕も新聞くらい取るからね。その時に研究所の前に置いてあるんだ。」
「へぇ・・・酷いですね。」
「いや、そうじゃないんだ。」
「・・・え?」
私はびっくりした。動物を捨てる人は絶対に許せないと思ってたのに。
「僕の研究所の前に捨てる人はここから聞こえてくる動物達の声が聞こえてるんだよ。昨日まで捨てられていた子がいなくなっているのも。だからここに置いておけば幸せになると思っているからここに捨てるんだよ。」
なるほど。でも・・・
「そうなんですか・・・でも、それなら渡したら・・・」
「無人の研究所と呼ばれるここに来る人はあまりいないと思うけど。」
「ああ!」
これで全て納得した。でも、クローバーはどうしてあんなところに・・・
物思いにふけっていると
「ワン!」
「うわ!」
いきなりチャゲが吠えたのでびっくりした。
「あはは、目を覚ましたかい?ほら、もう一仕事だよ。」
「は、はい!」
そうして今日も研究所の仕事が終わった。