きみへの想いを、エールにのせて
ラッピングまで一生懸命したチョコチップマフィンは、結局彼に渡せなかった。
でも……。
私は思い立って、マフィンを持って家を駆けだした。
私にはなにもできない。
でも、ずっと応援していると伝えたい。
結城君の家は、雄介君に聞いて知っている。
一度決めたら足が速まる。
気が焦りすぎて絡まりそうになる足を懸命に動かし、結城君の家の前までたどり着いたけれど……おじけづいてしまった。
マフィンくらいで励ませるわけがない。
おそらくあのまま病院に行った結城君が、家に戻っているのかもわからず立ち尽くす。
ラインを開いてみたものの、打つ勇気もなかった。
今、彼に私の力が必要だなんて、どうしても思えない。
「結城君……応援、してる」
結局私は、元来た道を戻った。