きみへの想いを、エールにのせて
「お見舞いですか?」
「あっ、はい。……いえ」
突然看護師さんから声をかけられ慌てた私は、「これ、結城君に渡してください」とマフィンの入った袋を差し出した。
「結城さん、今いらっしゃいますよ?」
「いいんです」
この声が彼に届いていないか心配になりつつ、看護師さんにマフィンを押し付けてその場を離れた。
「待って。名前は?」
背中越しにそう問いかけられたけれど、足は止められなかった。
こんなことしたら、本当は迷惑かもしれない。
また彼を追い詰めたりしたら……と不安になるのは、真夜さんの冷たい目が頭から消えないせい。
だけど……。
カバンの中のスマホが震え、取り出してみると、ラインの新しいメッセージ。
【チョコちゃん。来てくれたの?】