きみへの想いを、エールにのせて
彼は私に笑ってみせたけれど、その笑顔がぎこちなく感じたのは気のせいだろうか。
「ちょっと話したいんだけど、いい?」
「うん、もちろん」
なんの話だろう。
私も謝らなくてはと思っていたから丁度いい。
促されるまま中庭に下りると、前を歩いていた彼は振り向いて口を開いた。
「マフィン、ありがと」
「うん。あんなものでごめんね」
「おいしかったよ」とつぶやく彼は、一瞬悲しげな顔をする。
そして……。
「俺……水泳辞めることにしたんだ」
今、なんて言ったの?
唐突過ぎる彼の告白に目を見開き、言葉を失くす。
「応援してくれたのに、ごめん」
これは夢なのだろうか。
結城君の口から飛び出す言葉が、にわかには信じられない。
「そんな……。手術が成功して、復帰できるんじゃないの?」