きみへの想いを、エールにのせて

まずは担任にアプローチしてみると……。


「うーん。新しい部活の立ち上げには、それなりの人数が集まらないとなぁ」


あまり乗り気ではない。


「それなりの人数というと、どれくらいですか?」

「そうだな。水泳か……」


あまり競泳に関して詳しくなさそうな担任は、言葉を濁し苦い顔。

面倒なことを始めたなと思われているのが、見え見えだった。


「榎本、水泳の実績があるのか?」

「いえ。金づちです」

「は?」


金づちが部活を作りたいというのはやっぱり変かも。


「でも、全国区の選手だった人もいるんです。私は応援団です」


眉間のしわがますます深くなったのは見なかったことにして、「とりあえずリレーができる部員数は必要だ。集めてみろ」という言葉に頷いた。
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