きみへの想いを、エールにのせて
あまり関心がなさそうだった担任が協力してくれるなんて、思ってもいなかった。
「ここの生徒は冷めてるからな。榎本みたいに熱いやつは久しぶりだ」
たしかに、冷めているかもしれない。
入学したその日から、もう大学受験に向かって走り始めている人達は、皆がライバル。
もちろん友達づきあいはあるけれど、リレーの時のあの団結力、のようなものはどこにも感じられない。
「でも、勉強も頑張れよ」
「は、はい」
担任に念押しされたけれど、とりあえず今は水泳部。
私はすぐに顧問になってくれるという体育の先生のところに向かった。
「君が榎本か……」
チラッと視線を送った奥寺(おくでら)先生は、「金づちなんだって?」と笑う。
「部員、集まらないだろ」
「……はい」